福岡高等裁判所 平成4年(行コ)5号 判決 1992年11月24日
控訴人
誉多正之
右訴訟代理人弁護士
住田定夫
被控訴人
北九州市長末吉興一
右訴訟代理人弁護士
吉原英之
右指定代理人
南政昭
同
田仲秀都
同
垣迫裕俊
主文
一 本件控訴を棄却する。
二 控訴費用は控訴人の負担とする。
事実
第一当事者の求めた裁判
一 控訴人
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人が、控訴人に対し、昭和五八年九月三日付でした分限免職処分を取り消す。
3 訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。
二 被控訴人
主文同旨
第二当事者の主張及び証拠
次に付加するほか、原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する(ただし、原判決五枚目表四行目の「保証をしたこと、」(本誌六〇七号<以下同じ>140頁4段5行目)の次に「破産の申立て、破産宣告、」を加える。)。
一 控訴人
控訴人は、控訴人の破産申立てについて新聞報道がされるまでは自己の勤務状況等について上司から注意・指導を受けることは全くなかったのに、被控訴人は、右新聞報道後、北九州市に対するマスコミの批判をかわすべく、控訴人を処分するための理由として、突然控訴人の休暇の取得や勤務状況、テナントビルの経営等を取り上げて本件処分をしたもので、このような事情の下にされた本件処分は、控訴人にとって不当に重きに過ぎるものであり、不当である。
二 被控訴人
控訴人の主張は争う。本件処分はマスコミ報道とは直接の因果関係はなく、勤務実績が不良で、公務員としての適格性を欠く控訴人に対する正当な処分である。
理由
一 当裁判所も、控訴人の本訴請求を棄却すべきものと判断する。その理由は、次に付加、訂正するほか、原判決理由説示のとおりであるから、これを引用する。当審における証拠調べの結果によっても、この認定判断を覆すに足りない。
1 原判決の補正
(一) 原判決六枚目裏五行目の「第五号証、」(141頁2段3~4行目の(証拠略))の次に「原本の存在は争いがなく、弁論の全趣旨により成立が認められる乙第七号証、」を加える。
(二) 同七枚目裏八行目の「主張するが、」(141頁3段14行目)の次に「これに沿うかの如き原審における控訴人本人尋問(第一回)の結果は、前掲乙第三五号証に照らし、採用できないし、他に」を加え、同八枚目表四ないし五行目の「原告の仕事を」(141頁3段27行目)を「一広の仕事のほか控訴人の仕事も」と訂正し、同八枚目裏一〇行目の「原告本人」(141頁4段19行目)の次に「(第一回)」を加える。
(三) 同一一枚目表二行目の「連帯保証契約」(142頁2段31行目)の次に「(主債務者は富田正樹)」を、同一二枚目表六行目の「乙第二二号証の一」(142頁4段11行目)の前に「原本の存在は争いがなく、弁論の全趣旨により成立が認められる」を、同表一〇行目の「本人尋問」(142頁4段18行目)の次に「(第一回)」を各加える。
(四) 同一三枚目裏五行目の「七月五日」(143頁2段2行目)を「七月初旬」と訂正し、同一四枚目裏四行目の「行ったことを」(143頁3段8行目)を「行ったことと」と訂正し、同裏六行目の「本人尋問」(143頁3段10行目)の次に「(第一、二回)」を加える。
(五) 同一七枚目表五行目の「第一二号証の二五、」(144頁2段4行目の(証拠略))の次に「第三八号証」を加え、同表七行目の「第三七、第三八号証」(144頁2段4行目の(証拠略))を「第三七号証」と訂正し、同表一一ないし一二行目の「保証人になってやった」(144頁2段11~12行目)の次に「(右保証が控訴人の病休中にされたことはすでに認定したとおりである。)」を加える。
(六) 同一八枚目裏初行の「第四七号証」(144頁3段18行目)の前に「原本の存在及び成立に争いのない」を加え、同行の「原告が」(144頁3段19行目)から同裏四行目の「確定していること」(144頁3段24行目)までを「控訴人が福岡地方裁判所行橋支部に申立てた破産事件において、右借金を破産債権として届け出た債権者は、三村及び松本本人とされており、右破産債権は、債権調査期日において破産管財人及び他の破産債権者からの異議もなく確定したこと(破産管財人は、その職務上、届出破産債権についてその債権者が誰であるかも調査するのが通例である。)」と、同裏一二行目の「同年一一月一日」(144頁4段5行目)を「同年一一月一日午前一〇時」と各訂正する。
2 控訴人の主張について
控訴人が上司から再三注意、指導を受けたにもかかわらず、その態度を改めなかったことは原判決認定のとおり(ただし、前記1で補正後のもの)であり、また、新聞報道の有無にかかわらず、控訴人の一連の行動、態様、結果等が総合的にみて、勤務実績が不良であり、公務員としての適格性を欠いたといわざるを得ない以上、本件処分が控訴人にとって不当に重きに過ぎるとすることはできない。控訴人の主張は採用できない。
二 よって、原判決は相当であるから、民訴法三八四条により本件控訴を棄却することとし、控訴費用の負担につき同法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 柴田和夫 裁判官 山口幸雄 裁判官榎下義康は転任のため署名捺印できない。裁判長裁判官 柴田和夫)